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【 010 】 特別失踪に関する民法と年金法の違い

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  • 【 010 】 特別失踪に関する民法と年金法の違い

同じ事件であるにもかかわらず、法律効果の発生時期等が法律によって異なるということがあります。
その一つをご紹介します。

船舶沈没や航空機墜落などのような重大事故等で生死不明ではあるものの、その事故のときに亡くなったことがほぼ間違いないであろう場合に「その事故等で行方不明になった日に亡くなったものとする」という法律があります。

このことを民法では「特別失踪」と呼んでいます。

亡くなったとされる日を「行方不明になった日」とするのは同じですが、そうだと申し立てることができる時期に違いがあり、
民法では「行方不明になった日」から1年後、
国民年金法では「行方不明になった日」から3ヶ月後、
となっています(民法の場合は亡くなったものと「みなす」、国民年金法の場合は亡くなったものと「推定する」という違いはあります、このような重大な法律効果を年金法で「みなす」ことなどできるわけがないので)。

この時期の違いは恐らく、
民法による死亡推定が起こると、亡くなった人に権利義務の一切の承継が生ずる「相続」という重大事が開始してしまうので、時期を置くべきであるところ、
国民年金法では未支給の年金請求や遺族年金の請求が可能となり、遺族の生活救済を早期に行うべきという目的があるからだと思われます。

ちなみに、「普通失踪」の場合は民法どおり、行方不明になった日から7年間経過後です。

<民法>
第30条
2項 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする(家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる)。

第31条
前条第2項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

<国民年金法>
第18条の2
船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその船舶に乗つていた者若しくは船舶に乗つていてその船舶の航行中に行方不明となつた者の生死が3箇月間分らない場合又はこれらの者の死亡が3箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期が分らない場合には、死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた日又はその者が行方不明となつた日に、その者は、死亡したものと推定する。航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその航空機に乗つていた者若しくは航空機に乗つていてその航空機の航行中に行方不明となつた者の生死が3箇月間分らない場合又はこれらの者の死亡が3箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期が分らない場合にも、同様とする。

第18条の3
失踪の宣告を受けたことにより死亡したとみなされた者に係る死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用については、第37条、第37条の2、第49条第1項、第52条の2第1項及び第52条の3第1項中「死亡日」とあるのは「行方不明となつた日」とし、「死亡の当時」とあるのは「行方不明となつた当時」とする。ただし、受給権者又は給付の支給の要件となり、若しくはその額の加算の対象となる者の身分関係、年齢及び障害の状態に係るこれらの規定の適用については、この限りでない。

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