細かい点はさておき、現行法では年金の受給権を得るには最低25年の年金保険料納付済等の期間が必要です。
※生年月日等により、25年より短い場合もあります。
※ご年配の方の場合、合算対象期間(いわゆるカラ期間)というものがある可能性もあります。
さて、会社に普通入社すると70歳まで厚生年金保険に加入し続けなければいけません。
そこで実務でたまに遭遇するのが、50歳前後で中途入社したような方が、
「今まで会社勤めをしたことがほとんどなく、国民年金もまともに払ったことがない。今さら厚生年金に加入しても(今後25年も勤めるはずもなく)保険料の掛け捨てになるだけだから、厚生年金には加入したくない。」
というケースです。
しかし、短時間勤務で適用除外となるといったようなことでない限り、厚生年金には必ず加入しなければいけません。
結果、たとえ掛け捨てになることが最初から明らかであっても。
その人にも納めてこなかったことにつき、いろいろ事情があるのでしょうが、法律的には「今まで払って来なかったほうが悪い。今からでもとにかく加入しなさい。」で片付けられることになります。
ただ、他に方法があることにはあります。
それは、年金の受給権を獲得するまで、70歳を過ぎても「高齢任意加入被保険者」として厚生年金に加入し続けるという方法です。
手続きはいたって簡単で、その旨を厚生労働大臣(すなわち年金事務所)に申し出ることです。
なお、保険料は会社負担分と本人負担分の全額を自分自身が支払うことになります。
ただし、会社が半分負担してくれることに同意してくれるのであれば、本人負担分だけで済みます。
ちなみに、これはその会社が厚生年金保険に加入している事業所の場合のお話です。
厚生年金に加入していない事業所でも高齢任意加入被保険者になることは可能ではありますが、そのためには、
(1)厚生労働大臣の認可(申し出ではない)
(2)事業主(社長)の同意が必ず必要(保険料負担や納付義務が事業主に課されるから)
の2つの条件があります。
ですから、(2)につき、なかなか同意してくれないでしょうし、加入は厳しいと言わざるを得ません。
いずれにしても、年金の受給権を得る為に70歳過ぎても働き続けるというのも酷な話ではあります。
とは言え、2017年4月から消費税が10%に上がるのに伴い、最低必要期間25年も10年に大幅に短縮される予定です。
それであれば、少なくとも「掛け捨て」となるようなことは避けられるでしょう。
ただ、10年納めた程度では年金額もそれ相応に低額になるわけですが。。。