出向社員に労災事故が発生した場合、派遣社員の場合とは違って、実際に指揮命令を受けて労働に従事している出向「先」事業場の労災保険の適用「を受けることになります。
これは例え、在籍出向のように当該出向社員との雇用契約関係を継続したまま賃金も出向元が全額負担しているような場合でも変わらず、労働の実態(出向社員への指揮命令権を持っている事業場がどちらであるか)により判断することになります。
派遣社員との取扱いの違いをあえて言うのであれば、
派遣社員は派遣元から派遣先に「出張」しているようなものであり、派遣先は派遣社員を使用するのにいろいろと制約(仕事の内容や労働時間など)が課されており、派遣社員に関する責任・義務を第一次的に追っているのは派遣元であるので、労災保険も派遣元で適用する。
(もちろん、そのことをもって派遣先が何の責任も負わないということはありません。)
一方で、
出向社員は出向期間中は出向契約のおける出向目的などにより一定の制約はあるものの)出向先でその労働関係のほとんどを委ねられることになる。
という違いによると考えればわかりやすいのではないかと思います。
出向社員に対する労災保険の適用については、昭35.11.2基発第932号を参考にして下さい。
あと、注意すべきこととしては、上記のとおり出向社員の労災保険は出向先で適用されることなるので、当然に労災保険料の負担も出向先が負うことになりますから、労働保険の年度更新手続きにおける賃金集計にあたっては、出向期間中の当該出向社員の賃金は出向先にて集計の対象とし、出向元では逆に除外することになります。